セピックのクロコダイルマンを求める旅 ーパプアニューギニアを旅してー
戻ってきました、パプアニューギニア。
ついこの間まで原始の生活を営んでいた世界と
それはまさに陰と陽、光と闇、あるいは
文明と「未開」、こうした二軸で置き換えられるのかもしれません。
お互いに混じり合った「混沌」とした状態ではなく、それはときに時代をタイムスリップしたかのように
全く別の側面を僕に提示してくれたようです。
今回僕が旅したのはPNGの中でも特に濃厚にその始原の姿を留めるというセピック地方。
ここはPNGを流れる大河、セピック川周辺を指す地方。
ボートでしかたどり着けないがゆえ、今もなお特有の色を残すのでしょう。
昔ながらの高床式の質素な家屋に住まうその民は、
電気もなく、水道もなく慎ましい生活を送っていました。
川で魚を取り、時には彼らの力の象徴でもあるクロコダイルを取りながら。
セピックの男は真の「男」になるため、イニシエーションとしてスキンカッティング、つまり皮膚にナイフをいれる儀式を行います。
治癒する際、クロコダイルの鱗のように皮膚が盛り上がり彼らの背中は本当にクロコダイルのように光り輝きます。
それと同時に、イニシエーションの際ハウスタンバランという精霊が住まう家に男たちは集まり、
集落におけるしきたりや振る舞いを身につけます。
つまり精神と身体、自己と社会などあらゆる面での内と外の変化を経験することで、セピックの男となるのです。
クロコダイル、精霊そしてセピック川とともに暮らす彼らの営みが今もなお、そこにはありました。